ザッキン美術館

 ブルーデルの弟子で、ロシア生まれのossip Zdkine(1890-1967)が妻のヴィランティーヌと暮らしたアトリエ兼住居を1982年から「ザッキン美術館」として、パリ市が公開している。ザッキンは親日派として、日本にも、その作品が、沢山あるので、ザッキンのフアンも多いかもしれない。美術館へは、モンパルナスから、一駅、ヴィヴァンで降りる。工房や、画材の店がならぶ通りを見ていると、画家の町という匂いが漂う。  通りを奥に入ると、雨上がりに濡れた緑がつややかにわずかな光を浴びている。 庭の緑の中に、ザッキンの彫刻がいくつか展示されている。生きた時代の代表的な彫刻達。ザッキンの彫刻は、プリミティブな形に惹かれ、木が持っている力に形を加えるというような作品から、鋳造、これもプリミティブなデザイン文字から人間を表現したもののように思われる。パリ市の美術館は通常は無料だが、特別展を開催中なので、4ユーロだった。 住まいを美術館としているので、特別展を分けるというわけにはいかないから、無料では見られない。中は3部屋と、小さな突き出たベランダ、その奥に明るいアトリエという構造になっていて、画家がここで実際に生活し、制作していたのだと思うと、臨場感にも浸ることが出来て、素敵な美術館だ。窓から眺める庭も一段と美しく感じられる。  最初の部屋には、木造のプリミティブな神聖を感じられる彫刻が迎えてくれる。 次に小さなベランダに「金の鳥」(1930年の作)の像が人目を惹きつけるように一つだけ展示されている。木造から鋳造に、そして大きな木造の作品へ。 鋳造作品は、ザッキンが下絵に描いたものと、実際に出来た彫像とを、ダブルで展示している。 普段は公開されることのない、貴重な、デッサンと素描が特別展として、2009年3月26日から7月5日まで、公開されている。  ザッキンは、モンパルナスで、藤田継治との制作交流が縁で、日本でも個展をし、結婚の仲介も藤田継治に依頼したとか。 モンパルナスには、画家のアトリエが多いが、昔は、モンパルナスは、村だったと吉田さんから伺った。庭付きの家が普通にあって、このザッキンのアトリエも田舎屋の面影を残している。  今では、モンパルナスのアトリエは、ほとんど高層住宅になっているが、ゴッホのお墓のある、シュール、エ、オワーズに、画家村が出来ていて、そのあたりに住んで、アトリエを持っている人が多くなっていると聞く。