アンボワーズ

 

シャンティー城から、15分くらい車を走らせると、私が以前に1ヶ月暮らした、アンボワーズがある。アンボワーズを是非、みてほしいと思っていたが、かろうじて実現した。 息子は行く気がしないようだったが、ロワールで今日はおしまいなので、パリに帰るまで少し時間がある。寄ってくれることになった。

 アンボワーズは、本当に小さな町で、くるりと回っても20分くらい。毎日散歩ばかりしていて、一向にあきなかった。

 レオナルド、ダ、ビンチが、終の棲家に選んだ、「クロ、ルセ」を見てほしかったのに、見ないで、もうだいたいわかるから、なんて取り合わない。町の中は気に入って様子で、野菜の店で、トマトとにんにくを買っている。肉屋のソーセージにも目が行って、店を覗いている。

 小さな町のそこは唯一、賑やかな商店街で、その一角に、私がホームステイさせてもらった家があった。あれから、随分モダンになり、店が増えている。

 城前の広場の、一番目抜きの場所に、「ビゴのレストラン」がある。芦屋に出したビゴの店は、この店の家族が作ったもの。以前はお菓子と、小さな店だったのに、奥にもう一軒のばして、中も広くなっている。アンボワーズきっての有名な店のようだ。

 ここでお茶をする。コーヒーは大きいなサーバーに入れていて、何倍でも飲める。ケーキは一つの大きさが、二個分くらい。お茶のポットで、パティスリーを楽しんでいる人ばかり。奥にいる老夫婦は、お皿一杯にもられたパティスリーを食べている。時間は6時、今夜の食事になるほど。

 なつかしい町に、連れてきてもらって、ビゴの店にも入る事が出来た。少しでも川べりを散歩してみたかったけれど。毎日、夕暮れ時まで、住民が外に出て、川べりを散歩する。 18日には、アンボワーズで、催しがある模様、ポスターが出ていた。

 パリまで、休みなく、運転して、着いたのは9時前だった。丁度これで良かったのだろう。明日の朝まで借りることが出来るので、このまま置いておくのはもったいない気もるふけれど、運転手は疲れ切っているだろう。

 車で自信をつけたので、フランスの地図を見ながら、マルセイユまで6時間半だね、と興味津々。いいわね、若い人達は、これからの計画に夢を走らせる。

 アンボワーズに一泊するのもいいね、なんて。知らないと、その良さがわからない。すんでのところで、近くまで来ていたのに、寄らずに帰った町。私の郷愁になんか、つきあっていられないと。