ベルサイユ宮殿

 

 いつもチケット売り場をみただけで、入る気を失せてしまう、ベルサイユ宮殿に、朝一番なら空いているだろうと、早起きして行ってみた。観光バスがすでに何台か来ていて、個人のチケット売り場は、以前とは比べものにならないが、やはり行列が出来てる。

 

今日は中を見る気なので、並んで待つ。建物の入り口に来ると、マシーンが奥に何台か見えて、息子はそちらに行き、クレジットで買ってくれた。他の人達は、知らずに長い廊下を並んでいる。売り場までまだ行列が続いている。

 機械で買う人に道を空けていれば、ずっとスムーズに行けるのに、建物まで詰まっていて、入るまでわからないし、奥にあるので、見逃す人も多い。不親切というか、無関心というか、無駄にロスする時間が多い。入り口は別棟で、チケットを買ってから、一旦出て、個人用の入り口を探し、そこでまた、セキュリティーチェックがあるので、これも時間がかかる。

 ようやく入ったら、もうすごい人で、進まない。同じような部屋ばかり、人混みと、待つことで、初めは、興味深く見ていたけれど、もう早く出たいという思い。行列に並びに入ったようなもの。昔、来たことがあるが、ほとんど誰もいなかった。庭を一周する何十人乗りかのカートや、個人用の車も、なにもなかった。広大な庭園を歩かないで一周出来る便利なものが出来ているけれど、そのカートに乗るのにも並んで待たなければならない。 やはり前回同様、歩こうということになった。宮殿の内部でエネルギーを使っているので、疲れている。なのに、今日はチケットをガイド付き、大トリアノン、小トリアノンの見学を含んだ20ユーロのパスポートを買っているので、頑張って見て回らなければならない。

 

 庭園を巡る前に、息子がガイドブックでチェックしていた、ステーキハウスでランチをと、ベルサイユの町中に出て行く。

ミディ(昼食の格安メニュ)があるけれど、 肉を食べに来たのだからと、その店のお勧めステーキを注文した。前菜とメイン、それにコーヒーで、支払いは90ユーロだった。アメリカでは、ミディアムを頼むと、良く焼けたのを持ってくるので、ミディアムレアーを頼んだら、ほとんど肉のタタキ。中は赤肉で、生状態だった。前菜に頼んだ、この店のスペシャルのテリーヌは、美味しくない。

 ステーキは、けっこう美味しかった。日本のガイドブックに乗っている、ベルサイユのステーキハウスというのだから、観光客用の店だった。

肉が入ると、俄然力がわいてきたと言って、歩き始めた。大トリアノンに着いた頃には、足の疲れが気になり出し、小トリアノンまで来ると、中を見たくなきなっているようだ。 私は、今回見てみたかった、マリーアントワネットの村里まで行くつもりにしている。 地図でみると、そうとうまた歩くことになりそうだけど、友人から「良かったわ。」と聞いていた場所で、どこにあるのだろうと思っていた所だ。

 小トリアノンから、小川に沿って歩くと、白い円形の鳥かごのような建物が見える。

「愛の殿堂」と呼ばれ、マリーアントワネットがフェンゼンと愛の密会を重ねたと言われる場所、そこをさらに奥に行くと、池を囲んで、村里が広がっている。

 

 疲れているが、我慢してぐるっと回る。18世紀の頃、王侯貴族が村を所有して、市価栽培を楽しんでいた。マリーアントワネットも、いくつも農家を所有し、農作業のまねごとをして楽しんでいたという。

 ルソーの作品に、自然教育の「エミール」という作品があるが、自然主義ロマン主義文学の時代。

宮殿の一番奥にある、田舎屋から、最短距離を選んでも、かなりの道のりがある。痛む足をふんばって、ただ黙々と歩き続けた。帰り着くまで、仕方がないのだから。

舗装道は堪えるので、両脇の草道を歩くと、楽になる。駅近くにくると、ビールを飲もうと、ちょっと元気が出る。BARで、喉を潤しながら、疲れを休めた。

ベル(美)サイユ宮殿は、マル(悪)サイユ宮殿だ、と降参。