おでんと居酒屋「明治屋」

   阿倍野というのは天王寺と同じ駅であることを知らない人も多いだろう。以前に、阿倍野にある近鉄デパートの美術館で、待ち合わせをするのに、一瞬迷ったくらい。 天王寺美術館くらいしか、目的を持って出かけることのない場所で、全く未知に等しい、阿倍野橋商店街は、実は大阪らしい町だった。更に南に行けば、堺が控えていて、帝塚山などの奥座敷の入り口に当たるのだろうか。北のように、雑多で無国籍ではなく、南とまた違う大阪らしさ、静かで、庶民的な雰囲気を残している。忘れられていた大阪、という感じがする。 その中に、「明治屋」という昔は酒屋さんだった、居酒屋がある。去年の暮れに、旅チャンネルで、全国の居酒屋を訪ねて、その中からこれぞという店を紹介ている人がいる。 名前は聞いていたが、始めて画面で見る太田さんは、物静かな紳士だった。ここはお酒の種類が多く、今は女将さんと娘さんで切り盛りして、先代の味を守っているとか。     6時半に、「明治屋」を探して入って見ると、カウンターは満席、一つ空いたテーブル席の、「奥に詰めてください。」と言われた。品書きは結構沢山ある。お酒の種類は、随分多い。全国津々浦々の酒が飲めるようだ。しかも、値段が、酒屋の立ち飲みでひっかけるくらいに安い。熱燗を頼むと、ひのきの香りが漂って、なんとも言えない。透明なとっくりで、料理の盛りつけは、無造作でなんのてらいもない。頼むとどれでもすぐに出てくる。  よこわの刺身  隣にカップルがやってきた。合い席はこの店では当たり前。彼らは、幾つかの料理とビールを2本ほど飲んで、これからまた、別の場所に移動する様子。支払いは二人で2900円だった。  なまこ梅肉といわしの揚げ物 牡蠣フライ  この店は、すでに出来ているもので、きずし、お造り、なまこなどの酢の物などと、この店の看板でもあるおでんが、お勧め。どれも日本酒にぴったりあう。おでんは、3品で350円、種類は8種類ほどだけれど、これで充分だと思う。だいこんと厚揚げとじゃがいもでまず一品頼んだ。次に、卵、こんにゃく、ちくわで一皿。お汁をたっぷり含んで美味しい。お豆腐はおでんには入っていない。   湯豆腐 湯豆腐として、別メニュー。うどんだしがたっぷりで、ネギとおぼろ昆布がかかって美味しい。散々食べて、支払いは二人で5900円。食べログに、予算は最高で2900円と書いていた。最高食べたことになる。酒好きの人に、こんな店があつこちにあったらいいのに。今年一番の冷え込みだから、ひときわ熱燗が恋しくなる。おでんと熱燗、それに少しの魚があれば良い。 明治屋  大阪市阿倍野区阿倍野筋2-5ー4 06-6641-5280 13時から22時営業 休日 日曜日