9月のグッゲンハイム

 

 

グッゲンハイム美術館は、セントラルパークの5番街89ストリートにある。MOMAからだとマジソン通りで、M1からM4までのバスならどれでも良い。

 前回は、グッゲンハイムに着いたのは30分前で、入館を断られたが、しばらく待って、特別に入れてもらった。

 「ルイーズ、ブルジョア 展」が目当てだったのに、どの部屋でやっているのかがわからずに聞くと、この美術館すべてで、と言われた。そこで、彼女が彫刻家であることがわかった頃、すでに閉館になって出ていかなければならなかった。

 3月、パリにいた時に、市庁舎の前に、彼女の写真がでていた。ブルジョアのルイーズかと思っていた。革命的な女性運動家か、貴族的な女性 で、パリ市庁舎に関係があるのかと思っていた。彼女はアメリカ生まれのフランス人で、絵から彫刻家になった人だった。館内はカメラ禁止だが、MOMAにあった、ルイーズの彫刻と同じものも展示されていた。 力強い大胆な作品群は、女性の肉体と自然との関係を形にしたもので、女性性が強調されている。

 館内の螺旋型で上がっていくうちに、彼女の彫刻の展示品が沢山でている。背の小さな男の人が、彼女の作品を見て、嬉しそうに笑っている。楽しんでいる。女性の作品は、男性を引きつけ、女性の作品は男性を魅了するのかもしれない。

 

 そう感じたのは、次にホイットニー美術館で、私の好きなホッパーの絵画を見た後で、オーキーフの花をモチーフにした作品をみた時だ。オーキーフとルイーズの作品には共通性がある。それは女性の性を表現していること。エネルギーが強く、死を包括したような大胆な安定性がある。ホッパーの作品は、孤独な静けさと非人間的な無機質な感じがする。 光の中に薄く現れる世界で女性を描いていても、性を感じない。ホッパーに惹かれるのは、そうだから、男性的な作品だからかもしれない。