ニューヨークのホテル

 

 

従姉妹の為に予約を一応ホテルは予約をいれているので、その報告をするため、パリに電話をすると、彼女の一声は、「ホテルを取ったから」だった。私が徹夜で探しあれこれ場所とお金を考慮しながら予約を入れた努力は無駄だった。無為だった方が良い場合がある。彼女は、絶好の場所に快適なホテルを予約したのだから。

「40平米あるスイートで、ブロードウェイにも近いらしいわ。3星」

値段を聞くと、3泊で900ドルだという。税金が上乗せされる。

 YMCAの個室は一日102ドル、寝るだけだから、安くて、清潔、交通の便がよければと思うのは、私だからだ。レストランで終日働き、たった3日の休暇をニューヨークで過ごす従姉妹は、YMCAに泊まるはずがなかった。

ユーロで生活している人は、600ユーロと言っても、たいした額にはならない。ドイツの友人が、パリ公演のチケットを手数料を入れて買った時のことを思い出した。マルクがユーロに変わり、1マルク、1ユーロの感覚で生活している。 フランスでは、1フランが1ユーロという感覚でいる人がいまだに多いそうだ。

 ヨーロッパの極端なインフレは、通貨を変え、統一した事で起こったのだろう。通貨単位の切り上げが、インフレを招くのと同じだ。

日本も、次に打てる手は、通貨かもしれない。3泊で100000円だと高いと思う。10000円になると、安すぎると感じる。

ホテルが決まり、彼女が決定したことで、私は責任を負わずにすんだ。あてにはされていなかったかもしれないけれど、気分は軽くなった。向かいの通りに99セントストアーの看板が見えた。

昨夜、食器洗いのスポンジをガスで焦がしてしまったので、新しいスポンジを買わなければならない。入って見ると、ここは別世界。焦がしたスポンジは、この前来た時にスーパーで3ドルほどした。ここに来ると、製品は違うけれど、似たようなのが10コひとくくりで99セントだ。似ているけれど、品質が悪い。

 3ドルは高すぎるし、10個あっても悪いのはいらない。一個1ドルにして、品質の良い物がほしい。日本はそういうことには繊細で心配りが出来ている。