7月歌舞伎、松竹座

 

 7月歌舞伎は、東京から、菊五郎一家を迎えて、松島屋全員参加で公演が2日から始まった。

 片岡仁左衛門さんの、仁木弾正を久しぶりに見られるので、楽しみにしていた。以前に見た時には、まだ片岡孝夫さんだった。それほど昔ではないと思っていたのに、エスカレーターで話し合う声が「20何年ぶりの復活らしいです。」

 え、そんなに昔になるの?

 母のお友達が父親の代から松島屋さんの後援をしていて、母について、私もよく楽屋に入れてもらっていた。玉三郎さんと、廊下ですれ違った事もある。松島屋のパーティーに2度ほど参加させてもらい、孝夫さんだった頃、一緒に写真を取っていただいた。13代仁左衛門のお父さんもお元気で、握手している写真も残っている。秀太郎さんも若かった。

 母は、二階席の一番前で、私は3階の横の2番目に座っていたので、母の様子がよく分かった。バッグの中を開けて、パンフレットを見たり、入れたり。渡していたオペラグラスで、見ているので、興味はあるものの、以前のように、熱心というわけにはいかない。

 「こうして、出てこれるから、幸せだわ。寝たきりになって、迷惑かけたら辛いから。」 グルコミサンを飲むようになって、足が痛いと言わなくなった。階段は避けて、エレベーターを探しながら、えっちらおっちらではあるが、「来て良かったわ。一日、一日、弱って行くから。」なんとか、今のところ、母は健在だ。

  柊草の造りの盛り合わせだいこんのおでん

オムレツ風のお好み焼き

 牛肉のタタキ  しゃぶしゃぶ

 その前日も、妹と一緒に、母を三宮の映画館に誘った。飛行機の中で見た、「奇跡のシンフォニー」なら、音楽が多く、子供が主役なので、母が喜ぶだろうと思った。

妹は感激して泣いていたが、母は、もう一つ、感銘は受けた様子はなく、ただ見ていただけの様子。この前の「誰がために鐘は鳴る」とは同列には出来ない。

 それよりも、「柊草」での夕食の方が印象に残っていた。美味しかった、ということだけは覚えている。「沢山人が入って賑やかだったわね。」ということも。

お肉とおでんは、母の大好物なので、どちらも美味しい「柊草」はお気に入りだった。

 はり重のミックスランチ 

翌日、「松竹座」の幕間に、隣にある「はり重」でランチを注文した。ポタージュが美味しくて、母はそれを綺麗に平らげると、メインのお皿が出てくると、お腹が一杯の様子。

 海老フライとステーキ、ハムとサラダがついた、ボリウム満点のもの。食後のコーヒーがついていて、2千円。カレーハウスは、土曜日なので、外で並んで待っている状態だった。カレーハウスよりも、少し高いだけで、ゆっくり食事が出来るので、レストランはお勧めだと思う。

 

 女優の冨司純子さんが、幕間になると、お得意のお客様を待って、廊下に出て待っておられた。背が高く、ほっそりして、一目で美しさが目立つ。歌舞伎の奥さんらしく、控えめでつつましく、係の人と一緒に立っておられた。

 いつも見かける、仁左衛門さんの奥さんは、今日は姿がみえない。鬘をつけた芸者さんや、色町だとすぐにわかる着物姿の人も多かった。