夜の三宮「ぎん太郎」とバー

 造りの盛り合わせ

  パルモアに通っていた頃、夜の町を、うろついていた頃、行きつけの店といえば、赤萬の餃子屋さんや、ガード下の百番など、安い店だった。学期が終わると、誰と言うことなく、飲み会になる。クラスの人達は、会社勤めを終えてからの授業なので、参加者は独身者が多く、若い人達だった。一人頭1500円くらいの支払いで、百番はお得意さんだった。 昨夜、友人達と、久しぶりに、夜の三の宮に出た。ベネトン前で待ち合わせた。「日本海」という懐かしい店の名前がめについた。外資系の会社に勤めていた、女性に教えてもらった店で、姉妹店の「瀬戸内海」は、友人達を案内しては、通った。東門筋にある 「たかた」という小さなお寿司屋さんは、当時、シャルレの社長秘書をしてた女性に教えてもらった。二畳あるかないかの、カウンターだけの店で、中で、おじさんが握り、傍で奥さんが、せっせとワサビを擦りながら、客の世話をしている。

 土曜日など、開店30分前くらいから人が並ぶ。中には、新幹線で広島に帰る人が、途中、わざわざ寄り道してやってくる。一旦座ると、客はなかなか腰をあげない。カウンターの後ろの小さな椅子で、待っている客は、辛抱強く待っている。夕方に行くと、ネタ切れが多く、開店後3時間は持たない店だった。長らく、足が遠のくと、そういう店は行きづらくなる。

 昨夜、友人が紹介してくれた店は「ぎん太郎」という、酒菜屋で、阪急三宮駅の山側にある。酒好きのサラリーマンで、食にも、ちょっとこだわりがあり、それでいてリーゾナブルな出費で、何回か足を運ぶのに便利な店、という評価が出来ると思う。

 メニュー価格はどれもビヤホール並だけれど、料理屋っぽさを楽しめる 。

 鱧の柳川鍋

この店の売りものに、「釜飯」がある。2,3人用で、千二百円くらいから。お茶碗に4,5杯あるので、5人でも行けそう。お酒と料理を食べたあとで注文したら、どんだけー待たされるか。注文するのなら、お早めに。明石は、タコでしょう、といいうわけで、私達は、迷わずタコの釜飯に決まった。他に旬のお勧め釜飯は、あわび、とあさりがある。

 この前の、新地の「銀平」といい、この店といい、寛ぎを演出してだろうか、履き物を脱いで上がる店が多い。

 穴の あいた靴下でも平気で履いてる私、昨夜は見込んで、靴下のチェックをして出かけたのでオーケーだったけど、急に履き物を脱がされると、まごついてしまうことも。

で、帰り際、なにげなく、友人の足下が見えた。なんと、靴下の下に、銀色のマニキュアまで。お洋服は決まっておしゃれ感覚抜群の人だけど、見えない部分までお洒落なんだ。かたや、もう一人の友人は、イタリア国旗のトリコロールが、あちらこちらにちらりと配色されている。

 「おもしろい服を着ているわね。」とお洒落な彼女が言う。

 「それイタリアの服?」と無遠慮に私が聞く。

 「イッセイ、三宅」とすまして答えがかえってきた。

 ちなみに、私の服装は、というと、ミズノが出している、速乾性の運動服に、何年か前に、バーゲンで買ったピンクの上着、旅行にも、普段にもかかせない、ゴム入りの、ナイロン系のズボン。いつだったか、やはり旅行好きの友人に、

「楽そうなの履いてるわね。」とたらふく食事をした後に言われて、

「そうなのよ。ほら、ゴムだから、いくら肥えても、馴染んでくれるのよ。いくらだったと思う?3千円しなかったのよ。」なんて自慢までご披露した代物。

 

  

 

「昆論」というバーに行きたいと、友人が所望していた。それが昨夜の目的だった。

 いすすベーカリーが、一階にあるビルといえば、一番わかりやすいだろう。その階上に ある。カサブランカの大輪の花の匂いが漂い、カウンターの上にマスター自身で活けた花がいくつかの大壺の中から、大胆に、豪快に、広がりを見せて咲いていた。

 映画好きのマスターと、むきになってしゃべってしまった、と反省。マスターもむきになるほど、映画好きらしい。

 大人のバーの雰囲気が漂う。バーのこういう雰囲気が好き。

「得意ではないのですが。」と丁寧に作ってくれた、モヒートは、ミントがさわやかでさっぱりとした味で、美味しかった。

モヒートは、キューバのお酒で、あらくれ男達が、ぐいっと飲み干すお酒だとか。

「あれは、味わって飲むというようなアルコールではありませんよ。」

そういいながら、ジントニックのグラスに、上品で美しいモヒートが、テーブルに。

メーン州の最果ての、キューバ料理の店で、モヒートを始めて飲んだ。カウンターの中で、髭づらの男が、幾つものグラスに、ミントを潰して、ソーダを流し込む。小さなグラスに、ミントが一杯詰まっていて、アルコールの度数がとても強かった。