DIANA DAMROW

 

 

 火曜日の夜、シャンゼリゼ劇場で、DIANA DAMROWというソプラノ歌手が、モールアルトとサリエリの曲を交えて、歌った初めてのコンサートがあった。

オーケストラ、パリ、アンサンブルの演奏で、オペラの良く聞く、楽曲があり、次にソプラノ歌手の歌を交えての演奏という2つの組み合わせで進行する。

 指揮者は中国人のようで、Josheph Swensen という人で、情熱な指揮者だった。

 ソプラノ歌手の声が素晴らしく、楽器の用で、歌唱力も抜群、その上、若くて美しい人だった。オレンジに近い赤いドレスが華やかだった。最初に自分のギャラリー番号に鍵がかかっているので、叩くと、中に座っている人が、下の空いた所に行けば良いと言う。

 

 下に降りて、座ってもいいのかと訊ねると、空いたところに、と言われた。

休みを挟むと、オーケストラの空いた所は詰まり、二階も詰まっている。皆が移動しているようだ。私も更に階下の第一バルコニーに移動した。

彼女が途中で歌をやめた。指揮者は、第一バイオリン奏者に何か言っている。クラリネット奏者が入ってきた。ごめんなんさい、という合図をして。ソプラノ歌手はもう一度始めたから歌う。笑いとハプニングが起こった。 

 演奏会は大成功で、アンコールがやむことなく続き、4曲も歌ってもらった。客が帰らないで、拍手が続いたからだ。

終わって帰ろうとすると、下で人が固まっている。なにかと思うと、ディスクを買っている。私も1枚買って帰ろうかと思うと、皆が待っていたのは、今夜の歌姫だった。並んでサインをしてもらうために。彼女が現れ、私も買ったディスクにサインをしてもらうのに並んだ。前で並んでいる老人がいて、手に新聞のようなものを持っている。体から何とも言えない異臭が漂って来る。長い間、お風呂も入らず、衣服も変えず、すごい匂いだ。

 

 彼の番になり、ソプラノ歌手に、長い間話しかけ、興奮した様子だった。背の高い老人で。背中が曲がっていても大きな人だ。雑誌のような所にサインをもらっていた。皆、随分感激した様子で、歌手と話をして行くので、なかなか時間が廻って来ない。

 11時をとっくに過ぎて、アルマ橋の地下鉄駅に着いたのは11時半だった。

彼女のこれからの活躍が楽しみだ。こういう素晴らしい声を聞くと、シャンゼリゼ劇場に出る人は違うなあ、と思う。

 6月13日に、小沢征爾さんが、水戸オーケストラを率いて、シャンゼリゼ劇場で演奏する。きっと観客を興奮させてくれるだろう。紹介に、ボストンで長く音楽監督を務め、日本では斉藤記念と水戸に力を注いでいる。日本で最高のオーケストラを率いてやってくると書いていた。