金曜日の夜はルーブルへ

 

バスティーユオペラ座に、5ユーロのチケットを買うために4時についたら、すでに沢山の人の列が出来ていた。前の人に、順番待ちのチケットをもらったのかと聞くと、いいえ、と言う。誰もそういう券は持っていない。二人ずれの日本女性がいるので、聞くとここで待っていれば買えると言われた、という。今日はチケットを出していないのかな、不安はあったが、身動きがとれないので、そのまま並んだ。時間が来て、中に入りチケットの機械の前で並んでいると、15人くらい前の人の前で、機械が「アウト、オブ、オーダー」になっている。男の人が、なにやらレシートのようなものを持って、係の人に話している様子。係の人は、このまま待つように、機械が動かなくなっているから、と。心配ありません。そういって、行ったり来たり急がしく動いていた。時間は経つばかり、開場になり、人が入っていく。係の人が、機械の職人を呼んでいるから、と。また時間が過ぎていく。

 やってきた人が機械を開けて、もうチケットは完売されてないのだという。62人分のチケットが完売したので、「アウト、オブ、オーダー」だったのだ。

 

 若い女性が怒り出し、オペラ座の顧客担当の部長に激しく抗議した。皆、随分待たされたあげくに、もうないです。というのだから、怒るのは当然だ。日本から来ている女性達は、イタリアからパリに入り、3日間の観光なのに、5ユーロの為に2時間もロスしたことになる。彼女達はチケットを買うつもりで来たら、ここに並ぶと良いと教えられたそうだ。チケットはすでに完売だった。部長が、招待用のチケット係に、なんとかチケットが回せないかとかけあって、25ユーロの席を見たい人に世話していた。私にも、チケットを探してくれたが、私は良いから、彼女達に、とあたりを探したが、姿が見えない。

 今度何かあったら電話してください、と 名刺を渡された。外に出ると、日本女性が走っている。券が買えるかも、と言って、部長の所に連れて行き、席を探してもらったが、もうなかった。

 

外に出ると、男の人がチケットを売っている。10ユーロ席を20ユーロで。ちゃんとしたチケットかどうかを、彼女達は疑った。時間は6時に。幕が開くと、次の幕まで見ることが出来なくなる。結局、彼女達はあきらめて、パリの町に消えていった。

 ワーグナーの5時間15分もの長いオペラで、金曜日だから、5ユーロのチケットを買っても、ずっと立って見ることになるだろう。

 金曜日は、ルーブルが18時から6ユーロで入れる。9時半まで開いている日なので、そこに行ってみた。ゆっくり見ることのない絵画を見るのも良い。デノンから入り、

ニケの像をしばらく眺め、ミロのビーナスの像を見に行った。普段は、長い列が出来るのだろう。道順が標されているが、今夜は関係ない。好きなように動くことが出来る。

ニケを見てあがると、ボッティチェリーの2枚の壁画がある。次の間には、ボッティチェリーの絵画が何枚かあって、そこから回廊に入ると、レオナルド、ダ、ビンチの絵画が何枚も、並んでいる。向かいにはラファエロ。ゆっくり眺めることの出来る幸せ。ルーブルはすごい美術館だ、と改めて思い知らされる。ガラス張りの「モナリザ」を見てから、フランドル地方とオランダ絵画のコーナーに行き、フィルメールを眺める。レースを編む少女は、小さな作品なので、そばに行き、こまごまと見る。レンブラントの部屋で、フェティシバの前に座り、休みながら鑑賞。

 ルーブルには、コローの小作品の良いものが多い。コローの部屋には、随分沢山のコローの絵画が展示されている。コレクションをしていた人の部屋には、モネの雪景色の素晴らしい絵画がある。人が少ないと、ベンチに座って見ることが出来るのが良い。

  

フランス絵画のコーナーで、ルナンの作品の前で、批評をしている人がいた。後ろに立っている人が、時々、説明の仕方口を入れている。説明を聞きながらノートを取っている学生達。ルナンは、貧しい農家の人達の絵画を描いている。

 ドラクロアルーベンス、などの大きな絵画が並んだ,巨大な空間も、がらんとしている。ルーブルは夜に行くのが良い。