メイン州。ポートランド

朝、8時に出るよ、云った人が9時になった。

待望のタウナスは広くて、人一人横になって寝られるくらいはある。

出発するやいなや、渋滞に巻き込まれるが、しばらくすると今度はすいすいと走るようになった。

車が大きいので、視界が広く快適だ。真っ青な空に、真っ白な雲が目の前に、ふんわりと浮かんでいる。

朝ご飯に、サラダと、私が空港で買った焼き鯖の押し寿司を出したのに、少ししか食べなかったようだ。私の方は残していけないと残ったものを最後まで食べきったので、お腹がすかないが、息子は10時になるともう空腹を訴え始めた。

 メインのポートランドで、ホタテ貝の生とカニ料理を食べるから、と空腹を我慢していたが、12時頃、ボストン近郊まで来ると、トイレ休憩とと共に、もう我慢できないからといって、マグドナルドフィッシュハンバーガーを食べた。私はまだ、全くお腹が空かないのでコーヒーだけを飲む。再び走り出すと、渋滞で進まない。思うことは一緒、どこかで食事した人達が一斉に出てきたのだろうか。ほとんどの車がメインを目指して走っている。対向車は渋滞なくスムーズだ。ボストンに行く人は少ないのか。こういう時は、人の逆を行く方がいいね。わずかな休日なのに、車に上にボートや、自転車などを乗せて、車の中には家族の顔が見える。渋滞がどこまで続いているのか、乗り出して先を見る人もいる。4車線になって車が亀のようになっている。

車を走らせ始めた頃は、快適だ、景色いいね、などと上機嫌だった運転主は、この渋滞で、悲鳴をあげかけている。「飛行機にする価値おおありだったね。」などと。「事故があったんじゃないの。」私の感はどんぴしゃり、事故だった。

片側に寄せられた2台の車が壊れていた。

事故があると、長い渋滞が起こる。そこをすぎると嘘のようになめらかに走った。ポートランドまで45分の所に、キタリーというアウトレットがある。そこに少しよってから、ポートランドに向かった。

 キタリーには、メインの行き帰りに必ず寄る。いつもは閑散としているのに、ここでも大勢の人でごったかえしてる。

 アウトレット製品の更にバーゲンで、どの店も安い。私は品物を選ぶのに時間がかかるので、買うところまでいかない。息子は、ここでの目的は一つだと云って、ボストニアンの靴を買いに行った。私は常時使っているエスティーローダの化粧品を買っただけで、あとは見るだけ。ほしいものは沢山あるが、選んでいる時間がない。

 

今夜の宿は、ホリデイイン、エクスプレス、セレクトの新しいホテルで、マリオットの隣にある。中心から少し外れているが、ポートランドのモールがある近くに建っている。この連休は、オールドポートに近い目抜き通りにある、いつものホリデーインホテルは随分前から満室だった。

私たちの前にやってきた家族は4人で、車の上から、ボート、ボストンバッグなど、引っ越しでも通用しそうな荷物を下ろしている。かわいそうなお父さん、家族サービスにあれだけの仕事をかかえてやってきている。あとの3人は、先にホテルに消えた。

 私達は、部屋に入らずに、オールドポートに直行。「ジョーの牡蠣のバー」というレストランをめがけて。季節はずれには地元の人達の憩いの場である、小さなバーは、観光客で一杯だ。外にテーブルを出して、かき入れ時。

 

ウェイトレスの数も増えて、冬には寂しいオールドポートの、短い夏の顔を見せている。」

大きなホタテ貝の生と、カニとベーコンをカタツムリの容器に入れて、オーブンで焼いた料理、これははずせない。それに、二人でさんざんやめようか、迷ったあげくに、ロブスターサンドイッチを注文した。

というのも、今夜、オールドポートで一番人気のレストランに予約を入れてあるので。

9時半でないとあきません。ラストオーダーは10時です。というので、9時半に予約を入れていたから。

わざわざ、車でここまで来たのだから、ロブスターを食べなきゃ、ということになり、ここに来れば定番のもの3品を食べることになった。

 

お腹が満腹になり、このままホテルに帰るのはもったいない、灯台でも見に行くか、と車を走らせ始めた。途中に見えた息子の大学に、久しぶりだから見ていこうということになった。

 彼はほろ酔い機嫌で、なつかしがって、感慨にふけっている。夏休みで、学生は人っ子一人いない。ドアが開いていた。中に入って、勉強していた教室などを案内してくれた。この大学に移る前に通っていた私学のカレッジもみたいと言い出して、なつかしの大学巡りとなった。カレッジは、ニューイングランド大学に合併されて、今はニューイングランド大学になっていた。どのドアも閉まっている。中から出てきたセキュリティーの男性と長い立ち話。で、灯台には行かずに、ホテルに帰った。

 リビングキッチンのついた、広い部屋で、こういうのをスイートと云う。家族4人用に

バスタオルも4人分入っていた。6階の最上階から、ポートランドの全景が見える。

私は、昨日かけなかったブログに取りかかり、息子はベッドの上で、寝てしまった。夕食の予約の時間が来ても、二人はお腹が空かない。

とにかく時間がから、急いでいかないと。真っ暗になった空に、手を出せば届きそうな所に、大きな黄色い月が浮いているように見えた。こんな風に見たのは初めてだ。

レストランの中では、テーブルが空くのを待って、別室のバーでドリンクを飲みながら待っている人達で、ソファーは埋まっていた。

 二人は、飲み物も受け付けない状態で、ドリンクメニュも、食事のメニューにも全く興味がわかない。私たちのテーブルセッティングが出来て、いよいよ注文しないといけないのに、どのメニューにも胃が届かない感じだった。迷っている内に、ラストオーダーの時間になり、白ワインと、私はサラダ、」息子は魚料理を注文した。ワインを飲むと、ついているパンに手が出る。それがまあ、なんと美味しいこと。あれほど拒絶して胃が、逆に要求を始める。簡単なサラダだけでは恨めしくなった。息子の魚には、インゲンのソテーとポテトがついている。少し分けてもらうと、これがまた絶品。周りの人の注文がどれも美味しそうに見えた。ワインは魔物、ない食欲を引き出してくる。

「最初の即決が大事だね。僕はその訓練をしているんだ。迷う性格だから。」

 そう、迷っている内に、美味しいものを食べる機会を逸してしまう。

アメリカの東海岸、はるばる24時間もかけてやってきたのに、その上、車で6時間かけて連れてきてもらったのに、町で一番と評判のシーフードレストランにやってきたのに、どこにでもあるサラダだけで、帰る悲しさ。両脇のテーブルには、ロブスタープレートを注文した、客の料理が運ばれてきた。残念。