サンジェルマン、デ、プレ

 サンジェルマン、デ、プレの画廊街で、木曜日には、沢山の画廊で、展覧会初日のお披露目が行われる。その日には、ワインや飲み物、ちょっとしたおつまみも用意されている。

 1936年ブルガリア生まれ、1949年にイスラエルに移住した人で、テルアビブの美術学校で学んだ跡、アメリカのイスラエル文化財団の給費生としてパリの国立美術学校で学んだという経歴の持ち主の、Moreno Pincas の会場では、部屋中人で溢れていた。どこか、映画か、テレビで見たことのある顔ぶれも。東欧圏から出てきた人達が支えあって、その画家を支援していると聞いた。その画家が描く人物も動物も、それは醜い顔をしている。 激しい色使いで、インパクト十分な絵。日本人には、とても描けない世界。ここに来る前に、ある日本人画家のアトリエを訪ねた。

淡い色調で、形としての形を持たない風景を描いている。靄にけむる薄明かりの世界を見せてもらっただけに、その対象性の際立ちに、日本人的世界を再認識するような思いがする。以前にお伺いした日本人画家の絵も、赤と黒の2色で構成されているシンプルな絵画だった。この画廊の画家の絵は、これでも随分落ちつたらしい。

 その他の画廊も、沢山人が溢れ、誰でも入って見ることも、ワインを飲むのも自由。通りを歩いていると、可愛い年配の女性が、同行の画家と親しそうに話している。松谷さんという日本人画家の奥さんとか。上手に日本語を話される。今日は、女性の日、日本で言えば、3がつ3日のお雛様にあたるそうだ。画廊で、20世紀に活躍した女性達をモチーフにした展覧会のベルインサージュに

来られたとか、そこも覗かせてもらった。店に行くたびに、ちょっとワインをいただく。どこも安物のワインばかりで美味しいとは言えない。

 興味深い、展覧会があった。一見ボッシユ風の風刺的な要素を持った作品。見ていて、違和感なく、楽しい、という気分にもさせてくれる。おもしろい、と。作者に遊び心と余裕を感じる絵だ。

 近くの、テイクアウト兼、中でも食べられるという店に入った。好きなものを入れてもらって、会計をすませて、食べる。マクドナルド方式。おすしと中華があって、値段が安い。私はラーメンと、生春一つ頼んで、6ユーロ80セントだった。春巻きの味は悪くないが、ラーメンの麺があまり。ワインは美味しくて安い。人気があって、いつも混んでいるそうだ。サンジェルマン、デ、プレはインテリジェンヌで、お洒落な場所、その中に、こういう店があるなんて。この界隈は寿司の店が目につく。

 食事も、ヘルシー志向なのだろうか。