長い散歩

王の男」を見たついでに、「長い散歩」を見ました。モントリオール映画祭で、グランプリを始め

批評家賞など3つも賞を取った作品だというのに、惹かれ方らです。奥田英二監督作品。

映画俳優が、監督としても良い作品を作っているケースが多い。ロバート、レッドフォードの

第一回監督作品の「普通の人々」は素晴らしい作品でした。その後の作品には、最初の作品を超えるものはまだ存在しないと私は思っていますが、、、。クリントイースウッドは、年を重ねて、ますます、素晴らしい作品を作っています。

 「長い散歩」に関して、これは私の個人的意見なので、と前置きして、正直な話、グランプリを

取るほどの映画だったか、という疑問が沸きました。作り方の中に、他の映画で見たな、という撮りかたが。子供と、おじいさんが、交互に映像として空間に出てくるシーンとか、意識してやってるな、と。

 作品の内容においても、校長をしていた人物が、家族にあれほど憎まれるような非情な人間が、

子供にあのような接し方は出来ないと思うのです。若者がああいう自殺の仕方をするのも、どこかの外国映画から取ったシーンのよう。テーマとしても、安易すぎる。しばらくの間、二人が一緒に行動することで、5歳の子供が心を開き、彼を慕うようになったのに、彼は、誘拐犯として刑務所の中に。彼が、家族に犯した取り返しのつかない関係を、子供に愛情を注ぐことで、救われるという内容だけれど、子供の解決にはなっていない。再び、家族の下に帰され、同じ環境に置かれるのだろう。

老人に取って、子供は天使だった、というのが、この映画のテーマ。刑務所から出てきた老人は、

すがすがしい顔を青空に向かって向けるシーンで終わっている。老人が、自分で頭を丸刈りにするシーンがあるが、修行僧になる気分なのだろう。修行の対象になっているのが、5歳の女の子。親に愛されたこともなく、暴力を受けた、傷だらけの天使アルコール依存症から精神病になり死んだ奥さん(位牌)と一緒に、家族が幸せだった頃に行った場所に、子供を連れて行く、長い散歩

 悪い作品ではないけれど、これが、グランプリを取るには、他にこの映画を超える作品がなかった、ということ。私はこの映画を見て、あとで、考えさせられたり、今後に希望を持てたり、心が洗われたり、私に向けて、突きつけてくる問題も、感動もそれほど大きなものではなかった。期待しすぎかな。