歌舞伎

 

 大阪の松竹座に入ると真っ正面に、成田屋の初代団十郎が発案し、演じた舞台「暫く」を描いたビュッフェの油絵がある。1月は成田屋さんを大阪に迎えてのお正月公演、昨夜はその舞台を見に行きました。昼の部は、団十郎が弁慶を演じる「勧進帳」、夜の部は、市川海老蔵が主役を務める「毛抜き」がメインの出し物です。

勧進帳」は何度も見ていますが、片岡仁左衛門片岡孝夫さんだった頃)の弁慶を見に行ったときに、私のすぐ後ろに、まだ総理ではなかった小泉純一郎さんがいて、エネルギッシュな迫力のある拍手をしていました。素晴らしい、を連発して、「勧進帳」が終わると、座席を立っていかれました。多分楽屋見舞いに行かれたのでしょう。なかなかハンサムで若々しく素敵な人でしたが、総理になられて気苦労が多いのか、すっかり変わられた感じがします。いろんな方の弁慶、それぞれに良いのですが、片岡仁左衛門さんの弁慶は素晴らしい。情に溢れ、源義経を心から慕うけなげな弁慶を、せつなく演じています。なので、昨日は、夜の部に期待をかけて行きました。

 市川海老蔵は他の役者をよせつけない見事な演技で、正月の初笑いにふさわしい、派手でおもしろい舞台でした。

 江戸っ子歌舞伎は、歯切れ良く、きっぷの良い観客を笑わせる舞台が多いですが、浪速歌舞伎は、ねちっとしてまわりくどいけれど、はんなり、ねったりと情に訴えたものが多いようです。

 芝居がはねて、帰ろうとして後ろに向くと、美容整形の試験台に自分の顔を使っているという、高須クリニックの院長さんが、若い女性と見に来ていました。とても若々しくて綺麗でしたよ。

   

 法善寺さんの水掛不動さんには、南に行くと必ずお参りします。「包丁一本、さらしに巻いて」、法善寺横町には、浪速料理自慢の店も。道頓堀界隈のこのあたり、夜になると俄然元気になるよう。

 シカゴに住んでいる人に、友人が、「シカゴってどんな町?」って聞いたんですって。そしたら、

「大阪みたいな所」と答えたとか。そう言ったら、ほんと、そんな気がします。