丹波篠山 潯陽楼

      

昨年のお正月を丹波篠山の潯陽楼という、割烹旅館で迎えました。お正月は、母と二人なので、おせち料理は作らずに、大晦日から旅館かホテルに泊まるようにしています。予約が空いていたこの旅館に決めたのは、ボタン鍋を食べてみたいという理由からと、お正月料金にしては安かったから。前日からの大雪で、丹波篠山駅につくと、雪が積もっていました。出かけた時には、もう暗くて車窓からはわからなかったのですが。

 旅館は、丹波篠山の中心地にあり、ご家族で切り盛りしてらっしゃって、娘さんも動員して働いてらっしゃいました。玄関には、娘さん3人の羽子板が飾ってあり、家庭的な雰囲気でした。

 小さな旅館なので、部屋数は少ない分、暖かなもてなしです。ボタン鍋は、この旅館の自慢の料理で、秘伝のみそを使っているとか。

 除夜の鐘が終わる頃、近くの春日神社で、新年を迎える薪能があるということを、旅館の方から伺いました。旅館のご主人も、手伝いに行かれるとか。御神酒と、甘酒のふるまいのお手伝いに。

 薪能に魅せられて、8年間も毎年、東京から泊まりに来ているという一人旅の女性。他の泊まり客も、例年やってくる常連さんが多いとか。、

 母は、雪ですべったらいやだから、と行かなかったので、私一人、出かけました。神社の前に、作られた能舞台で、「翁」という能が。雪の積もった境内の能舞台を見る人達は、振舞酒を飲みながら鑑賞しています。お賽銭をくるんだ白い紙包みが、ちゃりんという音を立てて、能の舞台に投げ入れられます。能舞台に目をやりながら、神社のお参りに並ぶ人達。シンシンと、澄み切った空気の冷たさ

と、薪の灯りの暖かさ、厳かな能の奉納舞台、本当にお正月を迎えたという雰囲気を味わいました。翌朝は、おとそから始まって、おせち料理を出していただきました。素晴らしいおせちで、食後には、暖かいコーヒーも。

 翌朝、母を伴って、春日神社にお参りして帰りました。

今年のお正月も、予約を入れていたのですが、去年の暮れに母が、

「体調が悪いのでキャンセルし手ほしい」と言われて旅館にキャンセルのお電話をかけました。暮れも押し迫り、病院の診療も終わった29日に母は倒れて、そのまま緊急入院、2週間絶食でしたから、今年はお正月もなし、病院で過ごす毎日でした。来年のお正月、と言っても、もうすぐそこまで来ています。

母も元気になり、来年のお正月は、丹波で、母に薪能を見せてあげようと、潯陽楼に

予約を入れています。来年も雪が降るでしょうか。