湯灌

叔母が亡くなった。

5年に及ぶ、ベッドで寝たきりの辛く、長い試練の末の旅立ちだつたので、楽になって良かったという思いが強くて、悲しさはなかつた。

葬儀場で、美しく飾られた花は、女らしい優しさを持っていた叔母にふさわしい。

着物は、留そでを選んだ。

湯灌というのに、初めて立ち会った。

お風呂に入れてあげて、顔をエステして、着物を着せて、お化粧をするのを見守る。

おくりびと、という映画を見て、若い人たちが、納棺師になりたいと応募する人が増えたということを聞いていたが、二人の若い納棺師が、説明しながら、湯灌を行った。

私は、年老いた母のことを思うと、耐えられない。

自然にそっとしている方が良いと思う。

おもちゃにされているようで嫌だった。

湯灌代は、65000円計上されている。

古式にのっとってとか説明されたが、父の時はなかったように思う。

昔、父が健在だった頃、四国うどんの店があって、そこの肉わかめうどんが名物だった。

今、その店が普通の家の中で営業していて、隠れ家という名前になつている。

懐かしいおうどんの味。

父も叔母も好きだった。