吉田堅冶の美術空間

        

  あべのハルカスに美術館があることを知らなかった。

あべのハルカスにも初めて。

階下は、近鉄デパートが入り、マリオットホテルもある。

 吉田さんの展覧会に来られた娘さんと甥御さんの奥さんに同行して、

初めて、あべのハルカスに。

 美術館では、今、東大寺の仏像展をやっているが、これからの展覧会も

大きな企画が入っている。デュフィーなど。

   

 吉田堅冶の展覧会が、このアベノハルカス美術館で出来たら良いなあ、と思う。

世田谷美術館に、吉田作品が二十数点、寄贈されたとのこと。

 吉田さんの願いは、地元の大阪にある美術館に、とのことで、市立美術館が現代美術を収める新しい美術館が出来るので、そこにアプローチはしているとのこと。

  美術館に寄贈することで、吉田さんの絵画は良好な状態を保って保存される。

 吉田さんの絵画は、大きな展覧会の為に画かれた大作は、個人の家では飾れない。

 スペースを持つオフィス、ホテルのロビー、病院や公民館、市役所などの広い空間を要する。

 日本のマンションは、マンションとは言えないけれど、海外の映画に出て来るアパートだったら、50号から200号くらいの絵画がかかっている。

 海外では、抽象画が主流になっているのも、要求する空間や壁の構造が影響しているのかもしれない。

 日本の住宅は、ウサギ小屋と言われたくらい、狭い空間を区切りした部屋が多い。

最近作られるアパートは、広いリビングダイニングが一つになっているものが多いけれど、その中の大きな窓があり、壁の面積はそれほど広くはない。

 開放的で、自然と一体となった小さな建物が日本人の住まいの特徴だった。

そういう美的感覚が日本人にはいまだにある。

 その究極が、茶室だ。自然の中の離れに作られる茶室に、一輪の花、掛け軸がかかっている。

 神社仏閣などの、特別な場所、幾重にも部屋がある屋敷には、襖絵や屏風として大作が描かれているが、そういう絵画は必要に応じて、外されたり、たたまれたり出来るようになっている。

西洋化が日本に取り入れられたのは、歴史上、まだ浅い。現代美術の美術館が、作られるようになって、これからも増えていくだろうと

思う。

 地震に強い建築は、コンクリートと壁を増やす構造になるので、そういう住空間も増えていくだろう。

 絵画が要求する空間が、気象現象の変動と共に、変わってくる。コンクリートで固められた空間が増えていくと、それにふさわしい絵画

 が求められる。

 抽象画が求められる。

 日本では抽象画は売れない、と言われてきたけれど、環境の変化に合わせて、要求されるものが変わってくる。

 吉田さんお絵画は、海外で絶賛され理由は、日本的だから、という人もいるけれど、コンクリートや石造りの社会に住む人々の空間と吉田さんの絵画が表現する、開放感、自由の表現にあるのではないだろうか。

阪急池田の中央公民館(市役所の隣、駅からすぐです。歩いて、3分ほどのところにあります。)にて、あさっての火曜日まで、展覧会が開催されます。あとわずか。

興味のある方は、足を運んでみてください。

パワーをもらって、元気になってください。