玉三郎のグランドシネマ「日本橋」

    

グランドシネマ「日本橋」を、西宮ガーデンズシネマに観に行きました。

朝、10時15分からの上映なので、チケットが売りけれたらいけないと

早い目に出かけたのですが、気の毒なくらいに席は空いていていました。

 12年の12月公演を、映画化したものなので、友人と日生の舞台は

見ているのですが、映画で見ると、また違った感じがして、耳の遠い私ですから、

聞こえなかった台詞の一つ一つを聞きながら、大写しの画面で、新しい感覚で

見ることが出来ました。

泉鏡花の文章の、なんと美的感覚にあふれていること。

日本語の美しさを過分に引き出して、詩的世界が、全編を通して繰り広げられます。

玉三郎は、姉御肌から、身を焦がれる恋に落ちていき、怖れを抱くか弱い女に変身していく様を、生理的な美しさ、儚さ、,愛しさ、ものの見事に表現しています。

玉三郎にぴったりの、役処です。

2000円の均一料金なのですが、この作品は、何度でも見たいと思わせます。

ビデオで買って、台詞の美しさ、奥の深さを味うのにも良いでしょう。

葛城役の松田悟志も、ライバルの芸者、清葉役の高橋惠子の演技も素晴らしかった。

江原真二郎が、雨造りのおじいさんに扮して、骨の太い演技を見せてくれています。

 泉鏡花の美学が、玉三郎を得て、美的世界を作りあげいて、恐ろしく美しい、人間の生理に身を震わせる作品に仕上がっています。