新春浅草歌舞伎2

 

     

     

 足先の割れた所でつまずかないように注意しながら、浅草に着くと、靴屋で履ける靴を探したのですが、どれも気に入らなくて、芝居が始まる前にトイレにも行っておかねばあらず、

会場に行きました。

 

  雷門から、浅草寺へのメイン通りは、もう人が一杯で、立ち食いの食べ物やさんの人だかりは相当なものです。

 外国からの観光客がその中でも目立ちます。

 牛コロッケのようなものを揚げている店の前は特に凄い。紙に挟んでもらって、食べてる人、買いたいと待っている人で、ごった返してします。

浅草公会堂の前に、スターの手形があります。

アカデミー賞の会場で知られている、チャイナーズシアター

にあやかってなのかもしれませんが、手を合わせてみる人も多く、カメラで

贔屓のスターの手形を取っています。

 今日は、千秋楽。

挨拶は猿之助なので、ラッキーです。

会場の中に、浅草名物の販売コーナーと、会場を入った所で、様々な種類のお弁当を売っています。

浅草の名店から持ってきたもの、歌舞伎座のお弁当など、松竹座や南座では見られない、庶民的で活気のある弁当売りの声が飛び交っています。

浅草のカツサンド、一度食べたらやみつきだよ。

この牛丼は、売れたら終わり、あと残り3個で終わりです。

十和田の天丼、あつあつ、今出来たばかりの、美味しいですよ。

私はどれにしようかと迷って、買えなくてチケットを切って中に入ったのだけど、お弁当買ってきますといって、また出てきて、それからもまよって、まよって。

助六も食べたい。カツサンドもおいしそう。歌舞伎のお弁当も彩良くて。

天丼旨そう。国産のすき焼き牛丼、これも良いなあ。

で、売っている人にどれが良いかな、と聞くしまつ。優柔不断で困ります。

「浅草の客は、この牛丼買ってくよ。」

この言葉で決まり。冷たい牛でも美味しいんだって。

前から2番目に、昨夜の二人が座っています。ちらっと挨拶して、私の特等席になっている同じ席に。

隣の若い女性は、風邪を引いてせきごんごんしながら買ったばかりのパンフレットを見てています。大きな荷物が足元に。東京の人ではなさそう。

11時、猿之助が舞台から挨拶。面白い話で笑わせて、盛り上げます。わずか5分ですが、

素敵でした。

最初は、愛之助演じる、「義賢最期」これも、仁左衛門の十八番の役処です。この芝居は、

12世仁左衛門が演じて以来、松嶋屋の宝になっているお芝居です。受け継がれた様式の美と、松嶋屋独特の、声で聴かせる人情の熱さ、はかなさ。

仁左衛門そっくりの声使い、せりふです。

仁左衛門が、直接指導したというので、それもそのはずだと思います。

愛之助は、子供の頃に、13代仁左衛門の部屋子になり、大きくなってから、秀太郎の養子になっています。

化粧をすると、あまりの似様に、もしかしたら仁左衛門の、と疑いたくなるのですが。

新ノ口村も、親子の切ない愛情で、観客の涙を誘う、松嶋屋の美学を感じる。

 愛之助が、次の仁左衛門を襲名することは間違いなさそうです。

 

 次の作品は、「上州百両首」

この作品は、京都の春秋座で亀治郎の会で、観た作品ですが、その頃からずっとまた磨きがかかっています。

 2時間ほどの、休憩のない、長い芝居で、この作品は、猿翁さんが、猿之助時代に、

藤山寛美勝新太郎とのコンビで、見た時におもしろいと魅せられて是非やりたいと思いながら、

寛美とのコンビは寛美の死去でかなわず。勘三郎さんが、勘九郎を名乗っていた頃、、コンビで上演していたもので、原作はオーヘンリーの小説。

おさななじみの正太郎と、正太郎を兄のように慕う、頭の鈍い牙次郎との、固く結ばれた友情を描いたもので、感動を呼ぶ舞台です。

場所は浅草であることも、新春の浅草での感謝の公演にふさわしい出し物です。

相手役を務めた、若手の坂東巳之助は、三津五郎の息子です。さわやかで、声が良く通り、

はまり役で、猿之助とも息もぴったり。素晴らしい舞台です。

間に、観客席の間を二人で、漫才のようにかけあいの台詞で歩くのですが、私のすぐそばの道を通って、まじかに観られたのは、感動です。

浅草まで足を運んで、良かった。フアンなら、これくらい、いつもなんでしょうね。

お金もかかる。時間もいる。そうそうは出来ないこと。

大きなお年玉をいただきました。